国家検定「商品装飾展示技能検定」の実施は協会設立の翌年、1988年から始まりました。その後、当時設置された協会員による教育開発委員会のメンバーを中心に「VMD用語事典」が執筆・編集され、1995年に出版されました。しかし、技能検定実施当初より、検定にかかわる知識と技能に関連する指導書や解説書、あるいは受検を考えている人が学ぶための専門書はありませんでした。協会に対しても、VMDを職業としている人、検定を受検したい人、マーチャンダイズプレゼンテーションを学びスキルアップをしたい人など、様々な領域の人々から「専門書」があれば・・・という強い要望が寄せられていました。中央職業能力開発協会からの委嘱で日本VMD協会から派遣していた中央技能検定委員にとっても、問題作成の基準とする専門書の出版が急務でした。
そうした多くの声をきっかけとして、2006年、この商品装飾技能検定が他の民間主催の検定とは一線を画す「国家検定」であるということを前面にアピールし、「国家検定 商品装飾展示技能検定ガイドブック」というタイトルで初版本を発行する運びとなりました。初版本は500頁にわたる中身の濃い本で、総勢22名による会員有志が執筆、表紙デザインと挿入図は協会員が担当し、構想から校了まで約2年の月日をかけて完成しました。過去問題の使用については中央職業能力開発協会の許諾を得て、校正と編集、出版は繊研新聞社出版部に協力をお願いしました。
本の内容は検定に必要な知識や実務はもとより、専門職として必須の理論的な項目を網羅した基礎知識編と、マーチャンダイズプレゼンテーションの技術をわかりやすくイラストで表記した実技の基本編で構成されています。そして受検者には欠かせない各級別の過去問題の正解答とそのポイント解説を掲載しました。受検の心構え、受検の実際、各級のレベルや、このガイドブック以外での学び方のポイントなどを盛り込み、受検を目指す人やマーチャンダイズプレゼンテーションの実務を充実させたい人には、VMD用語事典とセットで必携の書となりました。
目次のPART1からPART6まで本書の構成は次のようになっています。
基礎知識を学び、必要な技法を自分自身でも習得することが出来るように、実務と教育術に精通した協会員により詳細に解説しました。
初版本から3年後の2009年に新たな過去問題に改訂して第2版を出版。その後、基礎編などに一部時代性を踏まえた内容を加筆訂正し、2014年に第3版を出版しました。
受検希望者や教育現場の指導者から、具体的な技術がわかりやすく解説されているので、受検対策に役立つなどの感想が寄せられています。
協会が手掛けた「技能検定専門書」として、ビジュアルマーチャンダイジングの実践実務能力を測る技能検定受検者にとって、その価値と必要性が更に高まり認知されるよう、今後も改訂を継続します。
(早乙女喜栄子)