ビジュアルマーチャンダイジングに於けるショーイングとは、VMD用語事典には「VMD計画をベースにしたビジュアルプレゼンテーションを具現化する、フィニッシュワーク全般のことをいう」と書かれています。ショーイングは、店舗のコンセプトやディレクターの考え方、あるいはテーマを受けて、総合的に商品演出を表現することです。何をどのようにプレゼンテーションするのかを考え、ディレクター、デザイナー、デコレーターとチームになって仕事をします。このときに重要な点は次のようなことです。
1. MDを通してテーマ、コンセプトを具現化する。
2. シーズンのテーマ、コンセプトに合わせて空気感を構築する。
3. 良い意味での期待を裏切るギミックを入れる。
不思議感、ドッキリ感で前を通る人の注目を引きつけるように仕組みます。クスリと笑えるようなユーモアを加味することもあります。
4. 新鮮な空気と時代を表現するスタイルが必要です。
これらのさまざまな要求を総合して120%の答えを出すことを考えます。
具体的にMDを表現するための主なショーイングテクニックの基本を写真とともに挙げてみました。
①「置く」
配置する。ならべる。寝かせる。構成する。(空間を大切にする)
②「張る・貼る」
平面に張る。お皿に貼る。立体(ボディ)に張る。
③ 吊る-1
視覚的に見えるもので吊る(吊る材料、方法に意味を持たせ意図的に吊る)。
④ 吊る-2
テグスで吊る。浮遊感、不思議感を持たせる。
⑤ ピンワーク
ピンワークを取り入れたMDの表現。
⑥ 感性を伝える表現
そのほかに具体的なテクニックとは別の表現方法として、美味しさなどの空気感を盛り上げるテクニック。
⑦ 小道具
イメージを盛り上げるための小道具の制作
私のVMDの目的は
①MDを魅力的に表現してお客様にアピールすること。
②ウインドウの前を通る人を楽しませること。
③お店のイメージアップにつなげること。
私は1.の考え方、2.の技術の2つの要素を身につけて、いつでも引き出せるように努力をしています。
SNSが発達してインターネットでの買い物が増えて、店舗のあり方も、私達が携わっている百貨店のウインドウのあり方も時代とともに変わりつつあります。
今まではMDを打ち出してお客様の関心を引き購買意欲に繋げていくためのウインドウでしたが、最近は「モノよりコト」という考え方も強く出てきていて、商品をいかに見せるかよりお店の考え方、理念、テーマなどを強調してそれをお客様にアピールしてゆく、イベント性の高いウインドウが多くなっているようです。ウインドウの表現方法も立体的なものより、グラフィック、映像と変わりつつあるようです。
そういう変化の中でも、商品が魅力的にディスプレイされているウインドウも沢山あります。私たちの仕事も立ち位置を考えながら精一杯の努力をして、ウインドウを魅力的に光らせてゆく事が使命だと考えます。
楽しいもの、美しいものはなくならないものだと思いますから。
(荘原陽子)